営業プロセスとは?重要性や策定のメリットを解説
自社の営業プロセスを明確にしておくことで、営業活動が可視化されて次に取らなければならない行動が明確になり、失注の振り返りの際にもどのような部分に課題があったのかを把握しやすくなります。
そこで今回は、営業プロセスの重要性や策定のメリットなどについて詳しく解説します。
目次
営業プロセスとは
営業プロセスとは、将来の顧客となるリードの獲得やリードへのアプローチ、商談、受注などの営業活動の一連の流れです。
営業活動は一般的に、自社の商品を購入してくれそうなリードを見つけ出し、そのリードにアプローチして自社製品の特徴やメリットを伝えます。その後、具体的な検討段階に入ったリードに対して商談を行い受注に至ります。
この営業プロセスが可視化されていれば、どの営業担当者がどのような案件に取りかかっていて、リードの検討段階はどのくらいなのか、アプローチの手法は何を用いているのかなどがひと目でわかります。
営業プロセスを策定する重要性
社内の営業プロセスを策定しておくことが重要な理由のひとつに「営業プロセスが可視化されていない組織の営業活動は属人化しやすい」という課題が挙げられます。
営業担当者がリードに対してどのようなアプローチを行っているのかがわからなければ、担当者の不在時にリードから連絡が入っても組織のほかのメンバーはすぐに対応できません。担当者が戻るまで待たなければならないため、休暇を取っているなどの事情があると対応までのリードタイムが長期化し、信頼が低下してしまうリスクもあります。
緊急対応であれば休暇中でも対応せざるを得ない状況に陥り、担当者の負担も重くなりやすいでしょう。
営業プロセスを策定しておくことで、組織全体が営業における一連の流れを認識し、誰がどのような営業活動を行っているのかを把握できるようになります。
結果的に属人化の解消や業務効率化につながり、顧客の信頼向上もはかれるなど、組織と顧客の双方にとって営業プロセスの策定は重要であるといえます。
営業プロセスのメリット
営業プロセスを策定することによって、次の5つのメリットがあります。
営業活動を可視化できる
前述のように、営業プロセスを策定すると組織全体の営業活動を可視化できるようになります。
組織全体でどのようなリードに対応しており、そのなかでどの程度のリードが案件化しているのか、受注につながりそうな案件はどのくらいあるのかなど、自社の営業活動の実態を正確に把握できます。
このように営業活動の状況を可視化できていれば、現段階で最も注力しなければならない案件を見極めてリソースを集中させるなどの柔軟な対応も可能になります。
営業活動の課題がわかりやすくなる
営業プロセスを可視化すると自社の営業活動における課題が明確になり、スムーズに営業活動を進めるための改善点も把握しやすくなります。
日ごろ何気なく進めている営業プロセスが非効率になっていたとしても、整理できていない状態のままでは現状の課題に気付くことが難しくなります。まずは一度営業プロセスを整理して全体像を把握し、改善点を洗い出すことをおすすめします。
営業担当者のモチベーション向上につながる
営業プロセスを可視化すると、営業担当者のモチベーション向上にもつながります。
ゴール地点が見えない状態で営業活動を続けていると、受注までの道のりが見えず終わりのない営業活動を続けているような感覚に陥り、モチベーションが低下するケースはよくあります。
営業プロセスを把握して自分が今どの地点で営業活動を行っているのかを把握していれば、ゴールまでの道のりが明確になり、受注まで走り切るモチベーションにつながります。
売上アップが期待できる
営業プロセスの可視化によって課題の改善をはかり、業務を効率化するとともに営業担当者のモチベーションアップにつなげることで、組織全体の売上アップが期待できます。
加えて、「営業活動の優先順位をつけて優先度の高い案件に注力する」「これまでアプローチできていなかった休眠顧客に接触をはかる」など、営業プロセスが見えることによって新たに選択できる戦略も多く生まれてきます。
部門全体のスキル底上げをはかれる
営業プロセスを可視化し、組織全体が自社の営業活動に対する意識を共有することによって、部門全体のスキル底上げをはかれます。
営業活動が属人化している状態だと、組織内のほかのメンバーがどのような案件を抱えているのかがわからず、知識やスキルを共有する場が作られないために組織力が向上しにくくなります。
組織全体で営業活動の全体像を把握し、案件にまつわる知識やスキルを積極的に共有することで、ほかのメンバーの経験を自分の営業活動に相互に活かすことが可能です。
一般的な営業プロセスとは
ここからは、一般的な営業プロセスを6つの段階にわけてご紹介します。あくまでも基本的な形であり、組織によって最適な営業プロセスは異なるため、下記を参考にしながら自社に合った形を見つけてください。
1.顧客リストを作成する
まずは営業活動を行うための顧客リストを作成しましょう。
社内にはさまざまな顧客データがあるため、展示会で交換した名刺やセミナーで獲得した申込情報、ECサイトの会員情報など、社内に散らばっているあらゆるデータを集約して顧客リストを作成します。
件数が多いようであれば、MAツールなども活用しながら1箇所に顧客データを集約してリストを作成することをおすすめします。
2.リード獲得とアプローチを行う
顧客リストが完成したら、リード獲得とアプローチを進めていきます。現段階で所有している顧客リストをもとにアプローチしながら、同時に新たなリード獲得も進めていきましょう。
リード獲得方法は展示会やセミナー、メルマガ、DM、SNSなど多種多様であり、自社に合った複数の方法を組み合わせて行うのが一般的です。
3.アポイントメントを取る
リードに対してアプローチを行い、自社の商品やサービスに対して興味をもってもらえそうだと判断できたタイミングで、アポイントメントを取って商談へとつなげましょう。
「商品やサービスについて詳しく知りたい」「具体的に購入を検討したい」といった希望があれば、アポイントメントを取るのに適したタイミングであるといえます。
一般的にリード獲得はマーケティング部門が行いますが、アポイントメントを取るのはインサイドセールス部門か営業部門のどちらかであるケースが多くあります。インサイドセールス部門が設置されている会社であれば、アポイントメントを取るプロセスまではインサイドセールス部門で担当することが多いようです。
4.ヒアリングで課題を発見する
アポイントメントを取って商談に向かい、ヒアリングによってリードの課題を発見します。リードの悩みを導き出し、自社の商品やサービスを活用して解決策を提案することによって最終的な契約を目指します。
リードは課題を自覚していることもありますが、漠然とした悩みを抱えておりどのような部分が問題なのかを理解していない場合もあります。ヒアリングによって相手の課題を浮き彫りにし、課題を理解してもらうことも大切です。
5.提案する
リードの課題が明らかになれば、自社の商品やサービスと絡めて解決策を提案します。この場面までたどり着ければ、契約までの道のりはもう少しです。
6.クロージング・アフターフォロー
無事に契約できれば、製品導入後のアフターフォローを行います。使い方が不明な点をサポートしたり、便利な使い方をレクチャーしたりして、顧客満足度を高めるように動きましょう。
残念ながら今回の商談で契約に結びつかなかった場合も、次回のアクションを確認する「クロージング」を行います。
「再提案をする」「再度見積もりを提示する」「〇日までに検討結果を連絡してもらう」など、次の行動を具体的に示すことで検討状況があいまいなままフェードアウトしてしまう事態を防止できます。
関連記事はこちら商談ってどういうもの?目的や具体的なプロセスを1から解説
まとめ
営業プロセスを可視化することは、自社の属人化を解消して業務効率化やコスト削減をはかり、スキルの標準化を目指す上で重要です。営業プロセスがあいまいになっている場合は、組織全体の営業状況を洗い出してみると良いでしょう。
一般的な営業プロセスは顧客リストの作成からスタートし、リード獲得やアプローチ、アポイントメントの獲得、ヒアリングや提案へと移っていきます。基本の形を押さえた上で、自社ならではのスタイルを確立することが大切です。