Excel(エクセル)のフォーム機能とは?作成方法やメリットを解説

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Excel(エクセル)のフォーム機能とは?作成方法やメリットを解説

エクセルのフォーム機能とは、レコード1行分のデータをカード形式の入力画面で表示する標準機能のことです。アンケートや事務手続きなど、形式的なデータを多くの人から情報を収集し管理する場面で非常に役立ちます。
本記事では、具体的にフォーム機能がどのような場面で役に立つのか、詳しく解説していますので、参考にしてください。

目次

    Excel(エクセル)のフォーム機能とは

    エクセルのフォーム機能とは、レコード1行分のデータをカード形式の入力画面で表示する標準機能のことです。フォーム機能を活用することで、データ入力を効率化できます。

    社員情報を入力する機能を例に考えてみましょう。社員の情報である氏名や年齢、家族構成など定型的な質問が多数ある場合、通常のエクセルのようにセルを行ったり来たりしてデータを入力するのには、手間がかかります。

    フォーム機能を使えばひとつのカード上で入力を集約できるため、データ入力時にリストの行を行ったり来たりする必要がなくなり、効率良く作業が可能です。

    Excel(エクセル)のフォーム機能のメリット

    エクセルのフォーム機能には、下記のようにさまざまなメリットがあります。

    • 既にエクセルが導入されていれば追加費用がかからない
    • エクセルを使い慣れている人が多い
    • 関数を活用すれば効率的にデータ集計・分析ができる

    各メリットについて、内容を詳しく確認していきましょう。

    既にエクセルが導入されていれば追加費用がかからない

    エクセルのライセンスを保有していれば、フォーム機能は追加費用ゼロで利用可能です。フォーム機能はエクセルの標準機能として備わっているため、新しくライセンスを購入したり、追加の契約を締結したりする手間はいりません。

    すでに業務の中でエクセルを利用できているのであれば、追加費用なしで導入できるのは大きなコストメリットとなります。

    エクセルを使い慣れている人が多い

    エクセルを使い慣れている人が多い点も、フォーム機能導入のメリットです。

    外部のサービスやツールを使おうとすると画面の構成や使い勝手の確認から必要となり、データ集計が思うように進まない可能性があります。

    エクセルであれば日常業務の中で利用していることも多く、操作に困ることもないでしょう。心理的なハードルを下げられる点でも、普段使い慣れているエクセルのフォーム機能は他のツールと比較してアドバンテージがあります。

    関数を活用すれば効率的にデータ集計・分析ができる

    エクセルの関数が容易に利用できる点も、フォーム機能を利用するメリットです。

    フォーム機能を用いて集計したデータは、エクセル上のレコードとして蓄積されていきます。集計したデータの中から平均年齢をAVERAGE関数で求めたり、SUMIF関数で30代男性の平均給与を求めたりするといったことも可能です。

    関数を用いてデータをまとめ、分析を効率的に進められるのはエクセルのフォーム機能の大きなポイントといえるでしょう。

    Excel(エクセル)のフォーム機能のデメリット

    エクセルのフォーム機能には当然メリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。

    • 大規模なデータを取り扱うのが苦手
    • 複数名で同時編集する際は一部の機能が制限される
    • 関数やマクロを利用する場合は知識がある程度必要
    • エクセルの知識を持つ人が少ないと属人化しやすい

    それぞれのデメリットがどんなものか確認していきましょう。

    大規模なデータを取り扱うのが苦手

    エクセルのフォーム機能は、大規模データの取り扱いが得意ではありません。そもそもエクセルは表計算ソフトであり、データベースシステムではないためです。

    数万を超えるような大規模なデータ群を扱う場合、エクセル上でデータの登録や更新をおこなおうとすると処理が重くなる場合があります。フォーム機能を使うとなおさら処理の負荷が増え、遅延を増大させてしまう可能性もあるでしょう。

    特にフォームをリッチにしていると処理遅延が顕著になりがちです。フォームコントロールやマクロ、VBAなどと組み合わせていると、PCのスペックにもよりますが著しく処理性能が低下するケースもみられます。

    継続的に更新され、データの積み上げが見込まれる場合には、エクセルのフォーム機能が適しているのか確認する必要があるでしょう。

    複数名で同時編集する際は一部の機能が制限される

    エクセルのフォーム機能は、複数名で同時編集するには適していない点もデメリットです。ブックの共有機能など同時編集機能はあるものの、共有中はセル結合ができなかったりシートの削除ができなかったりなど、一部機能に制限がかかります。

    また、たとえばシートを追加してから再度同時編集できるようにしようと共有や排他モードを切り替えていると、外部参照ができなくなったりファイルが破損したり業務に大きな影響を与えるリスクもあります。ただし、同時編集におけるデメリットはアプリケーション版のエクセルに限定されます。Web版のMicrosoft365のエクセルを利用している場合は、この限りではありません。

    関数やマクロを利用する場合は知識がある程度必要

    エクセルのフォーム機能で関数やマクロを利用する場合には、一定水準以上のエクセル知識が求められる点にも注意が必要です。

    フォームでの入力フォーマットを設ける場合に制作者のVBA知識が求められる場合があります。フォームからの入力内容をどのように保持し、どういったセルに反映させるかなどをエクセル側に制御させる必要があるためです。

    扱う業務の内容が複雑になるほど、エクセルやフォームに求められる機能も複雑になっていきます。多くの社員が利用している場合、追加要望を都度取り入れすぎて輪をかけて中身が複雑化してしまう場合も多いです。

    複雑な集計を行いたい場合には、関数やマクロに関する一定レベルの知識が必要な点は認識しておくべきでしょう。

    エクセルの知識を持つ人が少ないと属人化しやすい

    エクセルへの理解レベルに偏りがある場合、制作や管理が属人化しやすい点もデメリットといえるでしょう。フォームを作成できる人が少ない場合、プログラムの中身の詳細を他の人がわかっていない状況が発生するためです。

    中長期的に管理運用するファイルの場合、担当の人が休暇に入ったり退職してしまった場合に誰も対応できなくなる可能性も高いでしょう。さらに、長年蓄積してきたデータが、ファイルが破損して参照できなくなったとしても、適切な対応を行える人がいなければ業務へ及ぼす影響も大きくなってしまいます。

    属人化を避けるためには、よく使うフォーム内容はドキュメント化しておくといった対応が考えられます。

    フォーム機能をエクセルのツールバーに表示する方法

    フォーム機能をよく使う場合、エクセルのツールバー上に表示させることで業務の効率化が可能です。エクセルでは通常のメニューが表示されているリボン以外にも、クイックアクセスツールバーと呼ばれるエリアにメニューを設定できます。

    具体的にどのように活用できるのか、内容を確認していきましょう。

    ツールバーに表示させる基本的な方法

    フォーム機能をツールバーに表示させる手順は、以下の通りです。

    1. クイックアクセスツールバーのユーザー設定から「その他のコマンド」を選択
    2. コマンドの選択から「リボンにないコマンド」を選択
    3. リスト上の「フォーム」を追加
    4. 「OK」を押下

    一度設定できれば、クイックアクセスツールバー上のメニューをクリックすることでフォーム作成機能をすぐに呼び出せます。最初に設定すれば、あとはコマンドを押すだけです。ぜひ試してみてください。

    バージョンごとの方法の違い

    クイックアクセスツールバーの表示方法は、エクセルのバージョンが異なっても同じです。2013や2007などバージョンによって少し画面上の見え方が異なりますが、登録する手順は変わっていません。

    フォームのメニューが見つからない場合は、コマンドの選択で「すべてのコマンド」から探してみるのがよいでしょう。

    Excel(エクセル)のフォーム機能の操作方法

    エクセルのフォーム機能を用いたデータの新規入力や編集、検索する方法を解説していきます。簡易的な入力であればVBAは不要で、標準で搭載されている機能のみで操作可能です。

    自身のPCにエクセルがインストールされているのであれば、実際に使いながら試してみるとイメージがわきやすいでしょう。

    データの新規入力

    データの新規入力の手順は、以下の通りです。

    1. エクセルのシート上でフォーム入力させたい箇所を2セル以上選択
    2. 「フォーム」コマンドを押下
    3. 表示される入力フォーム上で「新規(W)」を押下
    4. 登録したい内容を入力
    5. エンターを押下して登録

    入力したい表などのデータがなくても、2セル以上選択してフォームコマンドを押下することでフォーム入力画面が表示されるので、フォーム機能を試せます。まずは、気負わずにトライしてみましょう。

    データの編集・修正

    フォームを利用したデータの編集・修正の手順は、以下の通りです。

    1. 編集したいデータ上で「フォーム」コマンドを押下
    2. フォーム画面上で編集したいデータを入力
    3. エンターを押下して編集した内容を登録

    データ編集は、新規登録よりも少ない手順で実施できます。フォームからではなく、リスト上で直接データを編集することも可能です。

    データの検索

    フォームを利用したデータの検索手順は、以下の通りです。

    1. 編集したいデータ上で「フォーム」コマンドを押下
    2. 表示されるフォーム上で「検索条件(C)」を押下
    3. 検索したい内容を入力して「エンター」を押下
    4. 同じ検索条件の別のレコードを検索したい場合、「エンター」や「前を検索(P)」「次を検索(N)」を押下

    複数項目を指定しての検索も可能なため、簡単な検索であれば標準機能の内容で十分カバーできるでしょう。

    エクセルでのフォーム作成・編集を快適にする方法

    フォームの作成や編集をより便利にするうえで、フォームコントロールやVBA、マクロボタンの活用がおすすめです。これらの機能を活用することで、より複雑な動作を自動で行える機能を備えられます。

    業務を効率化したい場合や、標準機能では業務要件を満たせない場合に活用を検討しましょう。

    フォームコントロール

    フォームコントロールは、画面にボタンやリストを設置し、指定したセルと連動させて直感的な操作を可能とする機能です。ボタンを押すことで特定のセルの値を更新したり、ラジオボタンを設定して任意の条件から項目を1つ選択させたりするといったことができます。

    ほかにもコンボボックスやスピンボタンなどがあり、アンケートで用いるようなひと通りの操作はフォームコントロールで対応できるでしょう。

    フォームコントロールのおもな機能について、下表の通りまとめました。どのような用途に使えるか、参考にしてみてください。

    フォームコントロール名 機能概要 使用例
    ボタン ボタンをクリックした際、指定したセルに任意のアクションを実行できる 特定のレコードの消去、赤文字化など
    コンボボックス 指定した内容をリスト形式で表示・選択できる 複数選択肢の中から1つ選択させる、選択肢に対応させた番号をリスト上に反映させる
    チェックボックス 選択肢に対応するチェックボックスを設定できる 特定情報の保有や情報配信の要否の登録など
    スピンボタン 指定した範囲の中で数値や日時の増減を行える 1〜10までの数値選択の簡易化、日付の微調整簡易化など
    リストボックス 指定したリスト内容を一覧した状態で選択できる 選択肢を画面上ですべて表示させておきたい場合など
    オプションボタン 複数選択肢の中から1つだけ選択できる 3つあるうちの特典から1つを選ぶ場合など
    グループボックス オプションボタンをグルーピングできる
    (オプションボタンはグルーピングしない場合、すべてのオプションボタンの中から1つのみしか選択できないため、複数のオプションボタン項目を設ける場合はグループボックスを利用する)
    複数のオプションボタンを設定する場合、グループボックスを用いて選択肢をグルーピングする
    ラベル 画面上に特定の文言を設定できる 入力項目に対して名前を設定・表示する場合など
    スクロールバー 縦や横に長いフォームを設けた場合に、カーソル操作による画面遷移を可能にする 多数の入力項目がある場合の縦横のスクロール設定

    VBA

    VBAを用いれば、より高度なフォームの設定が可能です。VBAはエクセルやOutlookなどでマクロを作る際などに用いるプログラミング言語です。たとえばエクセルで入力した内容をOutlookのメールに転記して送信したり、Webから必要なデータを取得して一括コピーしたりすることもできます。

    VBAの内容を実行してくれるフォームの機能であるボタンを設ければ、エクセル上でボタンを1クリックするだけでリスト上のメールアドレスを取得してメールを送信してくれるといった高度な処理をおこなえるマクロも組めるため、業務の効率化も容易です。

    フォームのデザインもVBAを用いることで改善できます。VBAではフォームの形や色、線の形式など見た目に関わる細かい部分を編集できるため、自分好みのデザインに仕上げられます。

    VBAは、Office系のソフト間での利便性も高いとされます。ほかにもパワーポイントやAccessと連動させる機能も備わっており、使い方次第で業務効率の飛躍的な上昇も見込めるでしょう。

    マクロ

    マクロボタンも、業務効率化を実現する重要な要素です。マクロはVBAよりも難易度が低く、エクセル上でマウスやキーボードを用いた操作を記録してマクロ化できます。たとえばA1~E1のセル内容を消去する、コピーして貼り付けるといった動作を記録し、マクロの実行を行うことで同じ操作を1クリックで実施してくれます。

    マクロの機能もVBAと同様、フォームのボタンと相性が良く、たとえば1つのセルに詰め込まれた複数のメールアドレスを、区切り文字に従って分割し適切な形に直すこともできます。このように単一の操作だけでなく、セルからメールアドレスを取り出す、余計な文字は除去する、メールを送るといった複数の連続した操作を組み合わせることも可能です。

    さらに、マクロで記録した内容はシステム処理でVBAとして記録されます。自動で記述されたマクロに対し、細かい修正をVBA上で実施することで細かい操作にも対応できます。

    VBAと同じく、フォームのボタンと組み合わせることで指定した処理を1クリックで実施させる点も魅力です。

    エクセルでのフォーム作成・編集を快適にする方法

    エクセルの標準機能は年々アップデートされており、マクロやVBAを利用しなくとも高度な操作が可能になってきています。そのため簡単なアンケートであれば、特別な技術や知識が必要なく、比較的容易に実装可能です。

    マーケティングや顧客情報管理などに活用したい場合は、有料ツールの活用もおすすめです。

    配配メールのフォーム機能は、お客さま宛にフォーム機能を用いたアンケートやマーケティングを行いたい場合など、活躍できる場面が多いツールです。

    また、フォームから得た情報は配配メール上で管理することができます。

    自社の利用目的を考えたときに、どのようなツールがあっているか、それぞれ比較をし、検討してみてください。

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    この記事の執筆者

    山盛 有希子執筆者のXへのリンク
    株式会社ラクス
    ラクスクラウド企画部 オンラインプロモーション課
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    山盛 有希子

    自動車部品メーカーで広報として3年間従事し、2020年6月にラクス入社。

    オンラインマーケティングチームに所属し、メルマガ運用やメルラボの企画・コンテンツ作成を担当。

    社内外向けにセミナーや勉強会を行い、メールマーケティングのナレッジを提供している。