パーセプションチェンジのメリットや起こすためのポイントを解説
「パーセプションチェンジ」とは、「意識改革」の意味をもつ言葉です。マーケティング業界では「顧客の態度や意識の変化を引き起こすこと」という意味合いで用いられており、自社の商品やサービスに興味・関心をもってもらうための意識改革を指しています。
今回は、パーセプションチェンジのメリットや起こすためのポイントをわかりやすく解説します。
パーセプションチェンジを起こすにあたってよく利用される「AISAS」という考え方についてもあわせてご紹介しますので、参考にしてください。
目次
パーセプションチェンジとは
パーセプションチェンジとは、「認知を変える」という意味で使用されるマーケティング用語です。
パーセプションは日本語で「認知」や「認識」という意味をもっており、「変化」を意味する「チェンジ」と組み合わせてパーセプションチェンジという言葉が生まれました。より具体的にいえば、「自社が求めている形に顧客の認識を変える」というニュアンスで使われます。
顧客のニーズは多様化しており、企業が一方的に販促活動を行うだけでは顧客の行動を変化させることが容易ではなくなっています。
そこで、自社の商品やサービスの新たな価値を発信して顧客の認識を変えることで関心を高めて購入につなげる、パーセプションチェンジが注目されるようになったといえます。
パーセプションチェンジを起こすメリット
顧客の意識を変容させるパーセプションチェンジには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、代表的な3つのメリットをご紹介します。
自社と購買層のギャップを埋められる
パーセプションチェンジを引き起こすことによって、自社と購買層のギャップを埋める効果が期待できます。企業は自社の商品やサービスに自信をもって送り出しますが、顧客に対して企業が伝えたい価値がうまく伝わっていないと、購買にはつながりにくい状況に陥るでしょう。
そのためパーセプションチェンジによって顧客に自社の商品やサービスの価値を知ってもらうことで、自社が伝えたい正しいコンセプトやブランドイメージが伝わりやすくなり、売上にも反映されやすくなります。
社内の担当者が共通認識をもてる
パーセプションチェンジを行うことで「自社の商品やサービスの価値はどのようなものなのか」を再認識し、社内の担当者が共通認識をもてるようになる効果もあります。
社内の担当者が自社の商品やサービスの価値をばらばらに認識していると、マーケティング活動の方向性が定まらず、一貫性のない施策を講じてしまったり担当者によって顧客へのPR方法が異なってしまったりするリスクがあります。
パーセプションチェンジを行う過程で「自社の商品やサービスの価値を定義する」というプロセスを経ることによって、社内が一丸となって自社の商品やサービスを売り出していけるようになるといえます。
マーケティングの方針が可視化される
前述のとおりパーセプションチェンジによって社内の担当者が共通認識をもてるようになり、このメリットはマーケティングの方針を可視化することとも地続きになっていると考えられます。
パーセプションチェンジを行う過程で「顧客に自社が希望する意識をもたせるために必要なマーケティング施策はどのようなものか」が明確になるため、より一貫性が高く、ターゲットに対して効果的な施策を講じることができるようになるといえます。
パーセプションチェンジに用いられる「AISAS」
パーセプションチェンジには、「AISAS」という考え方がよく取り入れられます。ここでは、AISASの5つの要素について詳しく解説します。
Attention(注目)
「Attention(注目)」は、「顧客の注目を自社の商品やサービスへ集めるマーケティング施策」をあらわします。自社の商品やサービスをより多くの顧客に購入してもらうためには、多くの顧客の注目を集めて、認知度を高めなければなりません。
Attentionでは、SNS広告やディスプレイ広告、動画広告などの広告出稿を通じて多くのメディアに露出し、認知度を高める施策がよく活用されます。
Interest(興味)
「Interest(興味)」では、自社の商品やサービスを認知させた後、興味をもってもらうための施策を展開します。
出稿している広告と連動したコンテンツを発信したりホワイトペーパーなどのダウンロード可能な資料を制作したりして、顧客が興味・関心をもつ情報を提供することで商品やサービスへの興味・関心を高めます。
Search(検索)
「Search(検索)」では、自社の商品やサービスに興味・関心を抱いた顧客に、検索エンジンなどから実際に検索を行ってもらうための施策を行います。この段階において、顧客は競合他社の商品やサービスと併せて比較・検討し、自分に合っているものを購入しようと考えます。
Searchの段階では、検索表示の順位を高めるSEO対策や、顧客の関心に合わせて自社のWebサイトを表示するリスティング広告の活用などが検討されるでしょう。
Action(購買)
「Action(購買)」では、自社の商品やサービスを購入したいと考えている顧客に対して不安を解消させて信頼を高め、実際に購入へとつなげるための施策を実施します。例えばランディングページの最適化をはかったり、過去に表示したことがある広告を再度表示するリターゲティング広告を活用したりするケースが多いといえます。
Share(共有)
最後のステップとなる「Share(共有)」では、顧客に購入した商品やサービスを共有してもらうための施策を講じます。
近年では誰もがインターネット上で情報発信を行うようになり、レビューサイトやSNSなどで商品やサービスの感想を投稿するようになりました。そこで自社のECサイトにレビュー投稿ページを設置したり、SNSで拡散したくなるようなキャンペーン企画を実施したりして、顧客が情報を共有しやすい環境を整えることが重要になります。
パーセプションチェンジを起こすためのポイント
パーセプションチェンジを起こすためには、次の2つのポイントを意識してマーケティング活動に取り組む必要があります。
顧客のデータを一元管理する
パーセプションチェンジを成功させるには、顧客データを一元管理して詳細なデータ分析を行うことが大切です。顧客データを一元管理できていないと、自社が発信するコンテンツにどの程度の顧客が関心をもっているのか、問い合わせはどのくらい来ているのかなどの全体像を可視化できないため、有効な施策を展開しにくくなります。
顧客のデータを一元管理することによって自社の顧客のアクションを可視化でき、「どのようなマーケティング活動を展開すれば高い効果が得られるのか」を把握できます。
カスタマージャーニーマップを制作する
パーセプションチェンジに取り組む際は、自社の商品やサービスを売り込みたいターゲットを想定し、具体的なシナリオを描いてマーケティング活動を行う必要があります。そのため、顧客が自社の商品を認知してから実際に購入するまでのプロセスをあらわす「カスタマージャーニーマップ」を制作することは効果的だといえるでしょう。
カスタマージャーニーマップを制作することによって、自社のターゲットがどのような意識をもって商品やサービスを購入するのかを時系列に沿って可視化できます。
関連記事はこちらカスタマージャーニーマップの作成方法と業界別具体例
関連記事はこちらカスタマージャーニーとは?定義やマップの作り方まで徹底解説
パーセプションチェンジの事例
最後に、パーセプションチェンジの具体的な事例を2つご紹介します。
Unipos
Uniposとは、Fringe Cool株式会社が開発した、従業員同士がインセンティブを提供しあったり感謝のメッセージを送ったりできるWebサービスです。同社は2019年にパーセプションチェンジに取り組んだことで施策開始からわずか1年でCVR4.1倍、商談化率2倍を達成しました。
ランディングページの内容を最適化して顧客にとってのメリットをわかりやすく記載し、パーセプションチェンジを行う過程で社内の業務を再確認し、連携体制を充実させる施策を行ったことによって営業活動が効率化されるという効果があらわれました。
LIFULL HOME’S
株式会社LIFULLが運営する不動産情報サイトの「LIFULL HOME’S」では、パーセプションチェンジによる広告施策で利用者を増加させることに成功しています。
従来は「物件情報が充実している」ことを強みとして運営していましたが、2017年4月からは「世界一のライフデータベースを構築し、一人ひとりに最適なソリューションを提供する」というコンセプトに基づいて、自社を訪れた顧客データを活用したマーケティング活動の実施に着手しています。これによって潜在顧客への効果的なアプローチができるようになり、LIFULL HOME’Sの利用者増加につながりました。
まとめ
顧客の意識を変容させるパーセプションチェンジは、自社と購買層のギャップを埋め、マーケティングの方針を可視化できる有効な手法のひとつです。AISASの考え方も取り入れながら、ぜひパーセプションチェンジに取り組んでみてください。
パーセプションチェンジを成功させるためには、顧客データの一元管理やカスタマージャーニーマップの作成をすることが重要になります。場合によってはMAツールなどの導入も検討しながら準備を進めていくと良いでしょう。