パイプライン管理とは?メリットや今すぐ始められる3ステップを解説
営業活動の効率化の観点から、営業活動に関連する業務フローをひとつのパイプとみなして営業プロセスの進捗を「見える化」し、分析・改善を行うパイプライン管理が注目されています。
パイプライン管理には営業マネージャーと営業担当者の双方に多くのメリットがあるため、近年では多くの企業で導入が検討されている考え方です。
パイプライン管理の導入には、リアルタイムな進捗管理や営業担当者同士の情報共有などが重要になります。
今回は、パイプライン管理のメリットや今すぐ始めるための3ステップを解説します。
目次
パイプライン管理とは
パイプライン管理とは、自社の見込み客や営業案件を「パイプライン」という軸を活用して管理することを指します。
営業部門においては、受注を獲得して自社の売上目標を達成するためにさまざまな営業活動を行います。スムーズに受注を獲得するためには営業プロセスの最適化が必要不可欠であり、自社にとって効率的な営業プロセスを整理しておくことが重要です。
そこでパイプラインを整備・管理することで、最終的に達成しなければならない売上目標までに必要な受注件数や商談数、見込み客数がどの程度なのかを可視化しやすくなります。
このことから、パイプライン管理の実施は、最短ルートで効率的な営業活動の実施につながると考えられます。
パイプライン管理が注目されるようになった背景
パイプライン管理が注目を集めている背景には、営業部門が数多くの課題を抱えている状況が常態化し、解決の糸口が見えていない企業が増加していることが挙げられます。
営業部門は「受注を獲得し、自社の売上を向上させること」を目標として日々の業務に取り組んでいます。しかし多くの現場で個々の営業担当の能力に依存した営業活動が行われているのが実態であり、能力の高い一部の営業担当が売上の多くを賄うことで、組織全体の営業力が向上しにくい状況にあるのも事実です。
このような現場で営業担当のスキルを平準化するために、営業プロセスを細かく細分化して可視化するパイプライン管理が注目されています。営業プロセスを細かく管理することによって、企業が抱える営業活動の課題を解消したり、さらなる営業の効率化をはかったりする企業が増えているということです。
パイプライン管理のメリット
パイプライン管理のメリットは、営業マネージャーと営業担当者の双方にあります。ここでは、それぞれの視点におけるメリットをご紹介します。
営業マネージャーの場合
営業マネージャーがパイプライン管理を行うメリットは、「中長期的な課題や売上の数値を可視化できること」「営業担当者の営業活動を把握できること」「営業担当者の成長を促せること」の3点です。
パイプライン管理を行うことによって、商談を始めてからどのくらいの期間で受注を獲得できるのかが明確になり、将来的な売上を予測しやすくなる効果が期待できるでしょう。商談の各プロセスにおける受注確率も可視化できるため、現在取り組んでいる案件がどの程度受注できそうなのかを把握できます。
加えて、パイプライン管理では営業担当者の営業活動も詳細に可視化するため、売上目標に到達しなかった担当者の課題を素早く発見し、解決を促すことが可能になると考えられます。
一人ひとりの行動を可視化することで営業担当者の成長も認識しやすくなり、「今後さらに成長するためにはどの部分を強化すれば良いのか」をマネージャー目線でアドバイスしやすくなる効果も見込めます。
営業担当者の場合
営業担当者にとっても、パイプライン管理には多くのメリットがあります。特に「営業活動を可視化できること」「顧客との商談のゴールが明確になること」という2つのメリットが大きいといえます。
営業担当者が日々の営業活動でどの程度売上目標を達成できているのかを知ることは、「不足している売上を確保するために自分がどのような行動を取らなければならないのか」を明確にすることにもつながります。ただ漫然と営業活動を行うのではなく、パイプライン管理によって現在の営業プロセスを可視化することで、効率的な営業活動を行うことが可能になるでしょう。
さらにパイプライン管理によって顧客が自社の商品を購入するまでのプロセスが可視化されるため、各営業プロセスのゴールも明確になります。
パイプライン管理を始めるための3ステップ
それでは、実際にパイプライン管理を現場で取り入れるためにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、パイプライン管理を始めるための3ステップをご紹介します。
1.商談フェーズを定義する
まずは、パイプライン管理を導入する準備段階として商談フェーズを定義する必要があります。自社が行っている営業プロセスを細かくわけて、それぞれの項目を詳しく定義していきましょう。
営業プロセスを細分化する際は、「営業担当者がどのようなアクションを起こすか」ではなく、「顧客がどのようなアクションを起こすのか」を軸にして定義することが大切です。顧客が何らかの意思決定を行わない限り、次の商談フェーズに進むことはないためです。
2.ゴールを明確にする
商談フェーズの定義が完了したら、商談のゴールを明確にしましょう。
せっかく商談フェーズを定義しても、「どのような状況になったらその商談フェーズが完了するのか」が定められていなければ、営業活動の効率化をはかることは難しくなります。
次の商談フェーズに進むための条件が明確化されることで、組織に所属する誰もが同じゴールに向かって営業活動を行えるようになり、生産性の向上にもつながると考えられます。
3.フェーズごとの顧客数とCVRを可視化する
ゴールを設定した後は、各商談フェーズの顧客数とCVRを可視化することも大切です。
現在の商談フェーズに含まれている顧客数と、次の商談フェーズに進む割合を明確にしておくことで、組織の現状を把握しやすくなります。商談フェーズが曖昧になっていないか、ゴールの条件が不透明になっていないかなどを再確認し、改善することが可能です。
パイプライン管理のポイント
パイプライン管理を行う際は、次の2つのポイントに注意することが大切です。
進捗をリアルタイムで把握する
パイプライン管理を行う際は、できる限り進捗をリアルタイムで把握しておく必要があります。営業活動は日々状況が変化していくものであるため、最新の状況を常に把握しておくことによってパイプライン管理の効果が最大限に発揮されると考えられます。
そのため、もしパイプライン管理を行う上でツールの利用を検討しているのであれば、リアルタイム性の高いツールを使用することが重要です。表計算ツールのようなリアルタイム性の低いものではなく、複数名で共同編集ができたり、編集内容が即時にグラフに反映されたりするツールを利用するのがおすすめです。
営業担当者全員で情報共有する
パイプライン管理を行う際は、営業担当者全員で情報共有することも重要です。各営業担当者が異なる認識をもっていると、パイプライン管理の効果は最大限に得られないでしょう。
パイプライン管理によって可視化された情報は営業マネージャーだけが把握しているのではなく、営業担当者にも共有して、組織全体で結果を活用していく体制を整備することが求められます。
パイプライン管理は分析・改善が重要
パイプライン管理は一旦環境を整備すればいいというものではなく、可視化した営業活動をその都度分析し、現在の営業活動が自社にとって適切なのか、改善できる部分がないかなどを常に検討し続ける必要があります。
分析によって見えてきた問題点や課題を改善することによってさらに組織内の営業活動は洗練され、組織全体が生産性の高い営業活動を行えるようになり、受注率の向上や売上拡大につながると考えられるでしょう。
まとめ
パイプライン管理を行うことで組織全体の営業状況を可視化することができ、組織全体のスキルの標準化や個人の成長を促せます。営業マネージャーと営業担当者の双方にとってメリットの大きい手法であるため、取り入れてみることをおすすめします。
パイプライン管理を行う際は、進捗をリアルタイムで把握するとともに、組織全体で情報共有を行うことも重要です。可視化された営業活動は定期的に分析を行い、改善できる点がないかどうかも常に検討し続けていきましょう。