サブスクリプションモデルの代表的な種類や成功のポイントを解説
近年では、ユーザーが毎月決まった金額を支払ってサービスを利用する「サブスクリプションモデル」が身近になってきています。そこで今回は、サブスクリプションモデルの代表的な種類や成功のポイントをご紹介します。
目次
サブスクリプションモデルとは
サブスクリプションモデルとは、従来のように「モノを購入する」のではなく「モノやサービスを利用する権利を購入(契約)する」という新しいビジネスモデルです。
サブスクリプションモデルでは、ユーザーは金銭の対価として商品そのものを手に入れるわけではなく、定められた利用料金を支払うことで事業者が提供する商品やサービスを利用することが可能になります。例えば音楽配信サービスなら、毎月定額料金を支払うことによってサービス範囲内の音楽を自由に聴くことができます。
つまり、一般消費者が継続的に利用することを前提として契約する商品やサービスのことを「サブスクリプションモデル」と呼ぶのが一般的といえるでしょう。
定額サービスとの違い
サブスクリプションモデルと定額サービスは、似たような意味合いで使われることが多い言葉です。例えば雑誌の購読やオフィス用品のレンタルなどでは、従来、定額料金を支払って継続的に商品やサービスを利用するというビジネスモデルが存在します。
定額サービスは、事前に用意された料金プランに基づいて契約し、事業者は期間が満了するまで商品やサービスを継続的に提供し続けるのが一般的で、最終目標としては契約を掲げることが多い傾向にあります。
一方でサブスクリプションモデルでは、顧客満足度の向上という点に重きを置いており、顧客のニーズに合わせたプランやオプションを複数用意して、各顧客のニーズに合わせたプランを選べるようになっています。最終目標として契約ではなく、顧客満足度の向上やLTVの向上とする場合が多く、解約されないためにサービスの質を改善し続けるというのがサブスクリプションモデルの特徴になります。
買い切り型サービスとの違い
買い切り型サービスは、ユーザーが商品やサービスを購入して所有する従来型のビジネスモデルです。買い切り型サービスにおいては、一度購入すれば商品は半永久的に消費者が所有し続けることができますが、一回に支払う金額が高額になりやすいという特徴があります。
加えて、破損などで新しく買い直す場合は再度新たに同じ金額を支払う必要があるのも特徴です。
サブスクリプションモデルのメリット
サブスクリプションモデルのメリットには、「サービスの開発リソースを1点集中できる」「売上を安定させやすい」の2点があります。
サブスクリプションモデルでは基本的に、自社が用意したひとつのサービスを契約中の全ユーザーが同時に利用します。そのため、開発リソースや設備は全てそのサブスクリプションモデルに投じることが可能になるというメリットがあります。
機能追加やアップデートをこまめに行えたり、パッケージ型と比較して安価な費用で提供できたりする点は大きなポイントなどいえるでしょう。
加えて、サブスクリプションモデルはユーザーが定額料金を継続的に支払うビジネスモデルであるため、売上を安定させやすいのもメリットのひとつです。一度契約につながれば解約されるまでは一定の売上を上げ続けることができ、売上予測もしやすくなるでしょう。
サブスクリプションモデルのデメリット
サブスクリプションモデルにはメリットがある一方で、「先行投資が必要になる」「継続してもらうための工夫が必要である」という2つのデメリットもあります。
サブスクリプションモデルではユーザーを獲得できなければ売上にはつながらないため、サービス開始時には売上が0の状態からスタートします。サービス環境を整えるための先行投資を行い、後から先行投資を回収していくことになるため、キャッシュフローが滞らないような資金計画を練る必要があるといえるでしょう。
さらに、契約しているユーザーが自社の商品やサービスに飽きて解約すると、売上が一気に下がる可能性もあります。ユーザーが継続したくなるようなサービスを提供し続けるための工数がかかることも、デメリットのひとつといえます。
サブスクリプションモデルの代表例
サブスクリプションモデルの代表例として、次のようなものが挙げられます。
動画配信サービス
動画配信サービスは、毎月定額料金を支払うことでサブスクリプション事業者が提供している映画やドラマ、オリジナル番組をはじめとした動画を自由に視聴できるサービスです。サブスクリプションモデルと相性が良く、近年急速に普及しているビジネスモデルといえるでしょう。
なかには2億人以上の有料会員を抱えるサービスもあり、国内外で人気を集めているサブスクリプションモデルであるといえます。
音楽配信サービス
音楽配信サービスも前述の動画配信サービスと同様の仕組みで、毎月定額料金を支払うことでサブスクリプション事業者が提供している音楽を自由に聴けるサービスです。こちらもサブスクリプションモデルと相性が良く、最大手のサービスには数億人のユーザーを擁するものもあります。
CDを購入するより安価な金額で膨大な数の音楽を聴くことができる音楽配信サービスはユーザーのニーズも高く、急速に成長しているといえます。さらに一部のサービスにおいては再生数に応じて収益が発生するものもあるため、アーティスト側にとってもメリットがあると考えられるでしょう。
カーシェアリング
カーシェアリングは、定額料金を支払って事業者が所有する車を同じサブスクリプションの利用者とシェアするサービスです。ユーザーは自分の車のように気軽に乗れて、新車を購入しなくても最新の車種を利用できるというメリットがあります。
アパレル分野
定額料金を支払うことでプロのスタイリストが選んだ洋服を自由に借りられるという、アパレル分野のサブスクリプションサービスも登場しています。ユーザー一人ひとりの身長や体型、利用シーンや好みに応じた服が用意されるため、コーディネートに自信がないユーザーにも人気があるサービスです。
家具・家電
家具や家電においても、サブスクリプションモデルのサービスがあります。毎月定額料金を支払うことで家具や家電をレンタルして利用できるサービスで、安価な費用で気に入った製品を使える点がメリットです。
家具や家電には購入時に大きな金額がかかるだけでなく、買い替え費用や処分費用も発生しますが、サブスクリプションサービスであればこれらの費用を支払う必要もありません。
サブスクリプションモデルを成功させるためのポイント
サブスクリプションモデルを成功させるためには、次の3つのポイントを意識して準備を進めることが大切です。
継続したいと思えるコンテンツを提供する
サブスクリプションモデルでは、ユーザーが長期的に継続したいと思えるコンテンツを提供することが重要です。
サブスクリプションモデルは従来型のビジネスモデルとは違い、「契約したユーザーが長く使い続けることで売上を確保できるビジネスモデル」です。
買い切り型サービスであれば購入が完了した時点で一定の売上を確保できますが、サブスクリプションモデルでは1回あたりの支払金額が大きくないため、継続的な利用が前提となります。
解約率を下げるための施策を講じる
サブスクリプションモデルを成功させるためには、解約率を下げるための施策を講じることも大切です。
前述のとおり、サブスクリプションモデルではユーザーに継続利用してもらうことによって売上回収を見込みます。そのため、すぐに解約されないようにユーザーニーズをよく捉えた上で、顧客満足度を向上させられるようなサービス提供に努めることが重要です。
時にはアンケートを実施したり顧客データの分析を行ったりして、サービス改善の糸口をつかむことも効果的だといえるでしょう。
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独自性を追求する
サブスクリプションモデルでは価格が契約の大きな動機になり得ますが、単にお得だからというだけでは競合他社に競り負けてしまう場合も多いといえます。「他社ではなく、自社でなければならない」とユーザーに思わせる独自性を追求して、魅力的なサブスクリプションモデルを提供するように心がけましょう。
まとめ
サブスクリプションモデルは、従来の買い切り型サービスと比較すると売上を安定させやすいビジネスモデルといえるでしょう。しかし長期的に契約を継続してもらえなければ売上を回収することはできないため、サービスを開始するにあたっては解約率を下げるための施策を講じることも大切です。
自社ならではの魅力あるサブスクリプションビジネスを展開するためには、他社と差別化しやすい独自性を追求することをおすすめします。さまざまな業界でサブスクリプションサービスが登場しているため、自社の特徴を活かしたサービスを設計することが大切です。
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